米金融当局者4人、利下げを近く実施する緊急性ないとの考え示唆
米金融当局者4人は7日、利下げを実施する緊急性はないとの考えを示唆した。早くても5月までは利下げはないとする最近の当局者発言に新たに加わるものだ。
連邦準備制度理事会(FRB)のクーグラー理事とボストン連銀のコリンズ総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、リッチモンド連銀のバーキン総裁はいずれも、約20年ぶりの高水準にある政策金利の引き下げをいつ開始する可能性があるかについて明言しなかった。
当局者4人のコメントは、パウエルFRB議長の過去1週間の発言にほぼ沿った内容だった。パウエル議長はインフレ率が当局の目標である2%に向かっていると当局者が確信するまで利下げを開始する準備は整わないと強調した。これを受け、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利下げが決まる可能性は低くなった。
投資家は3月の利下げ観測を後退させ、4月30日-5月1日のFOMC会合に照準を合わせているが、早期利下げの公算はなお小さいとみている。
クーグラー氏は昨年9月のFRB理事就任以来初の公の場での発言で、インフレが持続的に鈍化すると楽観していると述べたが、利下げが可能になりそうな時期については言及しなかった。
同理事はブルッキングズ研究所での講演で「インフレと労働市場の継続的な鈍化により、ある時点でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジの引き下げが適切になる可能性がある」と発言。持続的なインフレ減速を確認するため経済データを注視していくつもりだと述べた。
コリンズ総裁は、利下げに踏み切る前に、インフレ率が当局目標の2%に着実に近づきつつあることを示すさらなる証拠が必要との考えを示し、利下げ時期は「年内」の可能性が高いとした。
同総裁はボストン・エコノミック・クラブでの講演で、「持続的で広範に及ぶ前進の兆しを見ることは、政策スタンスの調整を順序立てて開始する上で必要となる自信を与えてくれるだろう」と指摘。その上で、「年内に政策の引き締まりを緩和し始めるのが適切となる可能性が高い」との見方を示した。