EU、ウクライナに8兆円支援実施で合意-ハンガリーが反対撤回
欧州連合(EU)加盟国首脳はウクライナに500億ユーロ(約8兆円)の金融支援パッケージを実施することで合意に達した。ハンガリーのオルバン首相はこれまでの反対を取り下げた。当初の計画から2カ月程度遅れたものの、戦争で荒廃したウクライナに重要な支援が提供されることになる。
ミシェルEU大統領(欧州理事会常任議長)がX(旧ツイッター)で合意を発表し、「この支援でウクライナに長期的で安定した、予測可能な資金が確保される」と説明した。
ブルームバーグ・ニュースが確認した草案文書によると、合意の一部として加盟国はウクライナ支援パッケージの実施について毎年議論することで一致。「必要に応じて」、パッケージの見直しを欧州委員会に提案するよう要請することも可能にした。
31日朝にハンガリーのオルバン首相とドイツのショルツ首相、フランスのマクロン大統領、イタリアのメローニ首相が会談し、合意が確保されたと事情に詳しい関係者が明らかにした。今回の臨時サミットに集まった加盟国首脳は過去数週間にわたった交渉が実を結んでいなかったことから交渉が袋小路に陥ると予想し、一部の首脳はオルバン氏が「脅し」をかけていると非難していた。
ロシアの軍事侵攻を退けるための兵器が不足し、国庫も枯渇しつつあると警告しているウクライナにとって、現在は重大な局面にある。同国は米政府が予定する610億ドルの支援も待っているが、米議会での承認手続きは停滞している。
事態が打開されたことで、EU内で無秩序な分裂が起きる展開は回避された。ウクライナのゼレンスキー大統領にとっては大きな追い風で、合意がなければウクライナには大きな打撃となり、米国の支援が停滞していることもあり西側のコミットメントに疑問が強まることになっていた。