利下げ期待の債券トレーダー動揺、地銀ショック後にパウエル発言
米地銀持ち株会社ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の問題を伝えるニュースは、注意深く設定された債券の投資ポジションを覆す衝撃となり、ショートカバーが殺到した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の1月31日の政策決定を待ち受けていた債券トレーダーは、パニック状態に陥った。
NYCBはこの日、昨年10-12月(第4四半期)決算の予想外の赤字と減配に加え、アナリスト予想の10倍を超える貸倒引当金の計上を公表した。これにより地方銀行セクターの健全性を巡る不安が再燃し、さらなる混乱が予想以上に積極的利下げにつながる可能性に備え、トレーダーは弱気ポジションの解消を急いだ。
米金融政策の方向に賭ける投資やヘッジに用いられる担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動する先物市場に31日の取引は集中した。トレーダーがショートポジションから手を引き、SOFR先物は急上昇した。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がその後、3月にも利下げが開始されるのではないかと期待する投資家をけん制すると、今度は強気ポジションの清算を反映する形で、建玉(未決済約定)が減少した。
一方、SOFR先物のオプション市場では、ハト派的プロテクションの需要の波が急速に高まった。数週間後に満期を迎える2月限について、3月20日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策決定発表に先立ち、利下げ可能性を想定する新たなポジションが設定された。